シロップ16g、おかえりなさい。
日本武道館での解散ライブから6年。シロップ16gが復活しました。
五十嵐さんの生存確認ができただけでも嬉しかったのに。(去年の「生還」ライブ)
新譜の情報がでたり、PVが公開されたり、雑誌にインタビューが載ったりして
そしてリリースされました。
タワレコに行ったら特設コーナーがあって、CDを手にとって、本当に復活したんだと実感できた。
CDを買っただけで胸がいっぱいになってしまい、帰宅後しばらく封をあけられず
数時間後に歌詞カードを読みはじめ、しばらくしてやっとCDを聴くという。笑
韻の踏み方とか、短歌じゃないけど5文字・7文字をくりかえす書き方とか
五十嵐さんぽいなーってところがたくさんあって、嬉しかった。
「ゆびきりをしたのは」「理想的なスピードで」「旅立ちの歌」が好きです。
好きっていうか、最初の2曲に関してはもう、言葉が刺さりすぎて流血もの。
ここから先は曲ごとの感想になります。
歌詞の抜粋も載せてるので、そういうのが苦手な人はすみません。
- Share the light
緊迫感のあるギターから始まり、低く響くドラムとベースが順に加わっていくイントロにドキドキしました。意外だったのは、ギターが五十嵐さんの歌と同じメロディーを弾いてユニゾンになってたこと。二番になると、ベースラインも同じ旋律を弾き始めて、まるでうねる渦のようです。
「後暗い防空壕」で「光をシェアする」というのはまるで、真夜中の光のよう。
ただ、「MUSICA」に載ってる全曲解説を読むと、東日本大震災の影響を受けた曲のようです。だからサビの訳は「光をシェアする」「光を避ける」「放射線をシェアする」「光を避ける」なのだそう。 - イカれたHORIDAY
シロップっぽさがでて少しほっとする。三拍子×三拍子だからかな。
喪失感も全体的にでていて、ゆらゆら漂いたくなります。
「競争のない独房」も「脱走しない独房」も、平和ではあるんだけど、そこに慣れると腐ってしまうね。だから勝ち残れなくて、精神が衰弱していくのか。
「価値残れない」=勝ち残れないっていう表現の仕方がが五十嵐さんっぽい。 - stop brain
こちらも冒頭のエフェクターかけたギターとベースがシロップ全開です。
そのあとに加わるドラムも。Aメロからのベースがかっこよくて、サビのベースとギターの和音が気持ちいい。4拍子+5拍子の変拍子なところも素敵です。
「思考停止が唯一の希望」って言えちゃうところがまた・・・。 - ゆびきりをしたのは
もうあの、歌詞を全部載せたいくらい好きです。もういいやっておもったり、当たり前のことができないな…って状態のままでいいと思ってるのに、同時に
「一生そればっかりでも 飽きるから
本気出せるもん ひとつくらいはないか」
って思ってる。
自分が心の奥底に沈めた感情とか言葉がここに書かれていて、
すごく辛いけど、言ってくれてありがとうという気持ちにもなっている。私は、「ゆびきりをした」相手はダイマスさん(所属レーベルUK.PROJECTの社長)だと思ってた。
本気出せるもんないか、勇気を使いたいんだろと考えたその結論が、「もう一度シロップをやりたい」だったんじゃないかなと。 -
(You will)never dance tonight
周りの音は騒がしくて、音のするものを消して静寂に身を包むが
「静寂過ぎて」怖くなって、空を見上げてしまう。そこにあるのは光。つまり、闇にうもれていたいけど、光を、希望を本心では求めている。
怖いという感情を自覚するには、静寂が必要だったってことなのかな。
それ以外の部分は、感情がないっぽい表現だったから。 - 哀しき Shoegaze
ジャッジャッジャッジャーラのリズムもシロップ節ですね。
「刹那い」=切ないっていう表現がでてきます。ダブルミーニング。「冒頭で再放送」ということは、
楽しかったのは最初だけだったということなのかな。
そしてその「楽しかった」のはライブだったということでいいのかな。 - メビウスゲート
この曲も歌詞が刺さります。
まだうまく整理しきれない。 - 生きているよりマシさ
PVが制作された曲です。タイトルからしてもう…という曲。
死んでる方がマシさというのは、死にたいわけじゃないんですよね。だから
「波を立てずに 穏やかな暮らしで
目立たないように 慎ましやかにして」
なのでしょう。余談ですが、歌詞カードみないでぼんやり聴いてたら、一箇所だけ
「死んでるよりマシさ」って聴こえたところがあって、思わずスピーカーを見てしまったことがあります。実際はずっと「死んでいるよりマシさ」と歌っていました。笑あとはアウトロの歌うベースが素敵すぎます。
- 理想的なスピードで
友人によく言われる言葉が詰まっていたので、この曲を聴くと胸が痛いです。
「心と向き合うなんて 無謀さ
もともと 勝ち目はないのに
挑んで またボロボロになってる」「愛してみろ 信じてみろ
壊してみろ 自分」の部分が特に、刺さります。
子供でいたいっていうところもすごく同感。
「愛してみろ 信じてみろ
壊してみろ 自分」
の部分は、自分に言い聞かせてるような歌い方ですね。 - 宇宙遊泳
今作で一番テンポが速め。
「爪先に合う 三日月は無く」って表現が好きです。
つまさきなんですね。まるでガラスの靴を探してるよう。歌詞カードを読んだときは「爪の先」だと思っていて
少し伸びた部分の、白い爪の部分にはまる月なんてないってことなのかと思ってました。馬鹿ですみません。 - 旅立ちの歌
アコギの音色のせいか、「見ててやるからがんばれよ」って言われてる感じ。
シロップって、泣いてる自分の隣に腰掛けてる親友みたいな音楽だと思っていて。あえてオブラートに包まず「お前はここがだめだ」って正論を言う。だけど、「俺もそうなんだよ」って言う。そういう優しさがある。最大の理解者みたいな。
だけどこの曲では、行ってこいってポンと背中を押して、見送ってるように思える。自分の思うままに進めと。
でも「もうあり得ないほど 嫌になったら 逃げ出してしまえばいい」って
言ってくれるところが、シロップのあたたかさだなぁと思ったのでした。
「生きているよりマシさ」のPVはこちら。
syrup16g - 生きているよりマシさ (MV) - YouTube