真夜中、それは普段気づかない光の見える時間。
先日、渋谷にある「森の図書室」で借りてきた本ですが
返したくないほど面白かったので後日、本屋で購入しました。笑
川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」。
タイトルと表紙に惹かれて手にとったのですが、装幀をしているのが名久井直子さんという方で、
調べてみたら「この表紙、素敵だなぁ」と手にとった本のほとんどを彼女が担当していました。びっくり。(こちら:白い本棚 (名久井直子) - ブクログ)
ストーリーは、
人とうまく付き合っていけない主人公・冬子が、あるきっかけで会社をやめ、フリーの校閲者になります。人と関わらない生活の中で、ふと行くことにしたカルチャーセンターでとある男性に出会います。その人とゆるやかであたたかい交流をしたり、校閲の仕事関連の人たちとのやりとりをしながら生きていく、ロードムービーのような作品です。
おかざき真里さんの「&」もそうなんですけど、なぜこういうラストになってしまうんだという気持ちです。とても切ないですが、それは、幸せが描かれてるから思えるのでしょう。冬子と三束さんのやりとりは本当に心温まるものでした。
冬子の生き方が、自分にとてもリンクしていて、人ごととして読めなかったし
校閲の仕事をくれる聖の、女性に対する苦言があまりに的確なので、思わず笑ってしまったり
終盤に現れる同級生・典子の残酷な一言には、一緒に崩れ落ちたりしながら読みました。(聖の話は36ページから、先輩の話は210ページから)
この本の冒頭1ページのことばが、本当に美しくて。
読み終わったあとにもう一度読むと、さらに美しくて、切なくなります。
余談ですが、私は夜が好きで。真夜中も好きなんですね。
でもひとりで暗い夜道を歩く勇気はなくて。
私の好きな時間は、好きな人と夜道を歩きながら他愛ない話をすることだったりします。